仏壇に何を供えれば良いのか迷う方は多く、間違ったお供え物を置いていないか不安になることもあります。
仏壇お供え物には基本的な考え方があり、難しくありません。
そのため、本記事では種類や供え方、避けるべき例までを整理します。
正しい知識を知ることで安心して日々の供養が行えます。


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仏壇のお供え物の基本的な考え方
仏壇にお供えをするという行為は、単に物を置くことではなく、ご先祖様や故人への感謝を伝え、心を通わせるための大切な儀式です。
仏教におけるお供えの基本は「五供(ごく・ごくう)」と呼ばれる5つの要素で構成されています。
これらは「香(香り)」「花」「灯燭(明かり)」「浄水(水やお茶)」「飲食(ご飯)」を指し、それぞれに重要な意味が込められています。
日々のお勤めを通じてこれらの品を供えることは、供養する側の心身を清めたり、仏様の知恵に触れたりする機会にもなります。
形式にとらわれすぎる必要はありませんが、この「五供」を基本として理解しておくことで、迷いなく供養を行うことができるでしょう。
仏壇のお供え物の代表的な種類
日常のお参りや法要の際、具体的になにを選べばよいのか、代表的な品目ごとの特徴やマナーを解説します。
ご飯
私たちの主食であるご飯をお供えすることは、日々飢えることなく食事ができていることへの感謝を表す行為とされています。
これを「仏飯(ぶっぱん)」や「飲食(おんじき)」と呼びます。
基本的には、朝一番に炊き上がったご飯を、私たちが食べる前に仏器(ご飯用の器)に盛って供えます。
仏様は湯気や香りを召し上がるとされているため、炊きたての温かいうちにお供えするのが理想的です。
盛り方には宗派による違いがあり、例えば浄土真宗本願寺派では山なりに、真宗大谷派では円筒形に整えるのが正式な作法とされています。
果物
季節の移ろいを感じさせる旬の果物は、仏様への敬意を表すのにふさわしいお供え物です。
形としては、丸いものが「円(縁)」につながるとして好まれる傾向にあります。
供える際は、衛生面を考慮して洗ってから水気を拭き取り、半紙や懐紙を敷いた高月(たかつき)などの器に乗せるのが丁寧です。
果物は傷みやすいため、熟しすぎる前に下げて家族でいただくようにしましょう。
また、お盆などの時期には、日持ちのする種類の果物を選ぶなどの工夫も大切です。
お菓子
お供え物として最も一般的で扱いやすいのがお菓子です。
選ぶ際のポイントは、「常温で保存できること」と「日持ちがすること」です。
焼き菓子、お煎餅、羊羹、落雁(らくがん)などが定番ですが、故人が好きだったものであればクッキーなどの洋菓子でも問題ありません。
また、後でお下がりとして分け合うことを想定し、個包装されているものを選ぶと配りやすく衛生的です。
包装されたお菓子は、箱から出して中身が見える状態で供えたり、のし紙の名前が参拝者から読める向きに置いたりするのがマナーです。
飲み物
故人の喉の渇きを癒やすために、水やお茶をお供えします。これを「浄水」と呼び、清らかな心でお参りするための象徴でもあります。
毎朝、新しい水や淹れたてのお茶に取り替えるのが基本です。
ただし、浄土真宗においては考え方が異なり、極楽浄土には清らかな水が溢れているとされるため、水やお茶を供える習慣がありません。
その代わり、「華瓶(けびょう)」という器に水を入れ、樒(しきみ)などの青木を挿して「香水」として供えるのが作法です。
また、故人が生前好んで飲んでいたコーヒーやジュースなどを供えることも、近年では一般的になっています。
仏壇お供え物で避けたいもの
故人の好物であっても、仏教の教えや衛生的な観点から、お供え物として避けたほうがよいとされるものがあります。
お供え物として避けたい食品
まず避けたいのは「殺生」を連想させる食品です。
具体的には肉や魚などが該当し、これらは仏教の戒律においてタブーとされています。
加工品であっても避けるのが無難です。
次に、「五辛(ごしん)」と呼ばれる香りの強い野菜類です。
ニンニク、ネギ、ニラ、ラッキョウなどは、刺激が強く修行の妨げになると考えられているため、お供えには不向きです。
さらに、衛生管理が難しいものも避けるべきです。
生クリームを使ったケーキや、傷みやすい生鮮食品、溶けやすいアイスクリームなどは、仏壇を汚したり悪臭の原因になったりするため控えるようにしましょう。
仏壇お供え物を供える頻度と片付け方
お供え物は、一度供えたら置きっぱなしにするのではなく、適切なタイミングで下げることが供養の一環となります。
お供え物はいつ下げるのか
ご飯やお水に関しては、基本的に毎日交換します。
特にご飯は、湯気が消えたタイミングや、遅くとも午前中には下げるのが一般的です。
長く放置すると固くなってしまい、衛生面でもよくありません。
お菓子や果物については、賞味期限内であり、かつ傷んでしまう前に下げます。特に夏場は果物が傷みやすいので注意が必要です。
下げたお供え物は「お下がり」として、感謝の気持ちを込めて家族でいただくことが重要です。
捨てるのではなく、仏様からの分け前として消費することで、供養が完結すると考えられています。
仏壇お供え物に関するよくある質問
日々の供養の中で、多くの人が疑問に思うポイントについて解説します。
毎日必要なのか
基本的には、ご飯、水、お線香などは毎日お供えするのが理想的です。
しかし、現代のライフスタイルに合わせて無理のない範囲で行うことも大切です。
例えば、朝にご飯を炊かない家庭であれば、自分たちが食べるパンを供えたり、炊いたタイミングでお供えしたりするなど、柔軟に対応しても問題ありません。
大切なのは形式よりも、故人を想い感謝する気持ちです。
手作りでも良いのか
故人のために手料理やお菓子を手作りしてお供えすること自体は、心がこもっており素晴らしいことです。
ただし、市販品に比べて保存料などが含まれていないため、傷みやすい点に注意が必要です。
手作りの品をお供えする場合は、長時間放置せず、お参りが終わったら早めに下げて、家族でいただくようにしましょう。
生クリームなどを使った傷みやすいものは避けたほうが無難です。
記事全体のまとめ
仏壇へのお供え物は、「五供(香り・花・灯り・水・飲食)」を基本としつつ、故人への感謝や繋がりを確認するための大切な行為です。
ご飯や水は毎日、お菓子や果物は日持ちや季節感を考慮して選び、肉や魚、匂いのきつい野菜などは避けるのがマナーです。
そして何より重要なのは、お供えしたものを「お下がり」として美味しくいただき、命の恵みに感謝することです。
形式や作法を守ることも大切ですが、ご自身の生活スタイルに合わせて、無理なく心を込めて継続することが、一番の供養になるでしょう。


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