大切なご家族を「身内だけで静かに見送りたい」と考えていても、実際に準備を始めようとすると、「近親者のみの葬儀とは、具体的にどこまでの範囲を呼べばよいのか?」「最終的な費用はいくらかかるのか?」といった不安や疑問が次々と湧いてくるものです。
「家族葬」という言葉との違いが曖昧なまま手続きを進めてしまうと、葬儀が終わった後に「あの人も呼ぶべきだった」「費用の内訳が思っていたのと違う」といった後悔を招く可能性も否定できません。
しかし、事前に「費用相場の目安」「当日の具体的な流れ」「参列範囲を決める基準」を正しく理解しておけば、いざという時でも冷静に、納得のいく判断を下すことができます。
近年では、過度な形式を廃した小規模な葬儀を選択するご家庭が急速に増えており、それに伴いサービスや費用の選択肢も非常に幅広くなっています。
本記事では、近親者のみの葬儀が持つ本来の意味から、具体的な金額シミュレーション、当日のタイムスケジュール、そして見落としがちな注意点やよくある質問までを、専門的な視点から体系的に詳しく解説します。
この記事でわかること
- 近親者のみの葬儀と「家族葬」「一般葬」との明確な違い
- 【地域別・人数別】最新の費用相場とコストを抑えるポイント
- トラブルを未然に防ぐための「参列範囲」の決め方
- 逝去から火葬まで、時系列で追う当日の進行内容
これから葬儀の準備や相談を始める方でも、安心して最善の選択ができる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
近親者のみの葬儀とは?基本的な意味と特徴
近親者のみの葬儀とはどのような定義なのか、参列者の呼ぶ範囲などをご紹介。
近親者のみの葬儀の定義
「近親者のみの葬儀」とは、故人と血縁関係の濃い親族や、ごく親しい身内だけで執り行う小規模な葬送の形を指します。
法律による厳密な定義はありませんが、一般的には配偶者、親子、兄弟姉妹といった一親等から二親等程度の範囲、あるいは故人が生前特に心を許していたごく少数の親戚までを含めることが多く見られます。
儀礼的な付き合いのある会社関係者や近所の方などを招かず、故人をよく知る顔ぶれだけで静かに見送るのが最大の特徴です。
参列者はどこまで呼ぶのか
どこまでの範囲を「近親者」として招待すべきかという明確なルールは存在しません。
すべては喪主や遺族の判断に委ねられており、故人の遺志や生前の人間関係の濃淡によって柔軟に決めることができます。
よくある参列範囲のパターン
- 同居家族のみ(5名〜10名程度)
- 二親等以内の血族(父母、子、孫、兄弟姉妹)
- 三親等まで(叔父、叔母、甥、姪など)
- 親族+生前特に親しかった友人数名
重要なのは、後々のトラブルを防ぐために、「呼ぶ人」と「呼ばない人」の線引きを遺族間で事前にしっかりと話し合っておくことです。連絡をしなかった親族から後で不満が出ないよう、配慮が必要になります。
家族葬との違い
現代において「近親者のみの葬儀」と「家族葬」は、ほぼ同義語として使われることが増えています。しかし、厳密なニュアンスとして以下の違いがあります。
- 家族葬:必ずしも血縁者だけに限定せず、「家族のように親しかった友人・知人」を幅広く含む場合がある。
- 近親者のみ:より血縁関係(親族)に重きを置き、外部の人間を入れない「身内だけの集まり」という意味合いがより強調される。
一般葬との違い
古くから行われてきた「一般葬」との決定的な違いは、「儀礼的な参列者を受け入れるかどうか」という点にあります。
一般葬では、職場関係、近隣住民、地域の付き合いなど、故人と直接的な親交が深くない人々も幅広く受け入れ、社会的儀礼としての側面を重視します。
一方、近親者のみの葬儀は、そうした対外的な対応を省き、故人との別れの時間を内々で過ごすプライベートな側面を重視するスタイルです。
近親者のみの葬儀の費用相場
近親者のみの葬儀費用相場をご紹介していきます。
全国平均の費用目安
近親者のみで行う小規模な葬儀の費用総額は、参列人数やプラン内容にもよりますが、おおよそ100万円前後が全国的な平均目安とされています。
一般葬(平均150万〜200万円程度)と比較すると割安になる傾向がありますが、注意点もあります。
参列者が少ない分、香典による収入も大幅に減るため、遺族の実質的な持ち出し負担額(自己負担額)は一般葬と変わらない、あるいはかえって高くなるケースがある点には留意が必要です。
地域別・都市部での費用相場
地価や人件費が高い東京都内などの首都圏では、式場使用料や火葬料金が地方に比べて高額になる傾向があります。
| 項目 | 東京都内(首都圏) | 地方都市 |
|---|---|---|
| 20名程度の葬儀 | 100万円 〜 130万円 | 80万円 〜 100万円 |
| 火葬料金 | 約6万円 〜 8万円(民営) | 無料 〜 約2万円(公営) |
| 式場使用料 | 10万円 〜 25万円 | 5万円 〜 15万円 |
一方で、公営斎場を効率的に利用したり、過度な装飾を控えたシンプルなプランを厳選したりすることで、50万円〜60万円程度に費用を抑えることも可能です。
費用の内訳:何にお金がかかるのか
葬儀費用の内訳は、大きく分けて以下の3つの項目で構成されています。
- 葬儀一式費用:斎場使用料、祭壇設営費、棺、遺影写真、搬送費、人件費など。
- 飲食接待費:通夜振る舞い、精進落としなどの食事代や返礼品。
- 宗教者へのお礼:読経料、戒名料(いわゆるお布施)。
近親者のみの場合、飲食費や返礼品代は人数分だけで済むため大幅に削減できます。しかし、火葬料や式場費といった固定費は人数に関わらず発生するため、極端に安くなるわけではないことを理解しておきましょう。
費用を賢く抑える方法
費用を抑えるための最も有効な手段は、公営斎場の利用です。民間のセレモニーホールに比べて使用料が格安に設定されており、火葬場が併設されている施設を選べば移動の霊柩車・バス費用も削減できます。
また、通夜を行わない「一日葬」の形式をとる、あるいは祭壇の生花をシンプルにするといった調整でもコストダウンが可能です。必ず複数の葬儀社から事前見積もりを取り、不要なオプションが含まれていないかを確認することが重要です。
近親者のみの葬儀の流れ
近親者のみの逝去から葬儀までの全体スケジュールや通夜・告別式の進行、一日葬と直葬との違いについて解説していきます。
逝去から葬儀までの全体スケジュール
基本的な流れは一般的な葬儀と大きな違いはありません。ご逝去直後から火葬までの一般的なタイムラインは以下の通りです。
葬儀のタイムスケジュール(3日間の例)
- 1日目:医師による死亡確認 ➡ 葬儀社へ連絡 ➡ 安置場所への搬送 ➡ 打ち合わせ
- 2日目:納棺 ➡ 通夜(読経・焼香・通夜振る舞い)
- 3日目:葬儀・告別式 ➡ 出棺 ➡ 火葬 ➡ 収骨 ➡ 精進落とし
通夜・告別式の進行:少人数ならではの特徴
読経や焼香など宗教的な儀式の手順は一般葬と同じですが、参列者が身内だけで構成されているため、形式張った喪主挨拶を省略したり、内容を簡略化したりすることがあります。
外聞を気にせず、故人の好きだった音楽をBGMとして流したり、思い出の写真をスライドで見せたりと、アットホームで自由度の高い進行が可能です。
一日葬や直葬(火葬式)との違い
「近親者のみの葬儀」という枠組みの中には、日数や儀式の有無によって以下の形式が含まれます。
- 一日葬:通夜を省略し、告別式と火葬を1日で行う。遠方の親族の負担を軽減できる。
- 直葬(火葬式):通夜・告別式の儀式を行わず、安置場所から直接火葬場へ。費用を最小限に抑えられる。
どの形式を選ぶかは、遺族の希望はもちろん、菩提寺(お付き合いのあるお寺)の了承が得られるかどうかも含めて慎重に決定しましょう。
近親者のみの葬儀を選ぶメリットとデメリット
近親者のみで執り行う葬儀には、少人数ならではの利点がある一方で、小規模ゆえに注意すべき側面も存在します。
ここでは、精神面・費用面・人間関係の観点から、それぞれの特徴を詳しく解説します。
遺族の精神的負担を大幅に軽減できる
最大のメリットは、何よりも遺族にかかる精神的なプレッシャーや疲労が軽減されることです。
一般的な葬儀(一般葬)では、喪主や遺族は数多くの弔問客に対して挨拶回りや接待、さらには細かな席順の配慮などに追われることになります。
その結果、肝心の故人とゆっくり別れを惜しむ余裕が全くないまま、火葬まで終わってしまうことが多々あります。
近親者のみの葬儀であれば、気心の知れた身内や親族だけで構成されるため、世間体や過度な礼儀を気にしすぎることなく、悲しみを共有しながら穏やかで濃密な時間を過ごすことができます。
葬儀費用を合理的に抑えやすい
参列者が限定された少人数であるため、物理的なコストを大幅にカットできるという経済的な利点があります。
具体的には、通夜振る舞い(通夜後の食事)や精進落とし(火葬後の食事)といった飲食接待費、さらには会葬返礼品の準備費用を人数分に絞り込むことが可能です。
また、大人数を収容するための大きな式場を借りる必要がないため、式場使用料も安価な小規模ホールで済む傾向があります。
ただし、前述した通り「香典による収入」が少なくなるため、最終的な収支バランスについては事前に葬儀社としっかりとシミュレーションしておく必要があります。
後日の個別弔問が増える可能性(デメリット)
デメリットとして想定しておくべきなのは、葬儀に呼ばれなかった知人や友人が、訃報を知った後に個別で自宅へ弔問に訪れるケースが増えることです。
葬儀という大きな儀式を終えてようやく一息つきたい時期に、連日のように個別の来客対応や香典返しの手配に追われることになり、「かえって負担が長引いてしまった」と感じる遺族も少なくありません。
これを防ぐためには、訃報を知らせるタイミングや、事後報告の文面を工夫し、自宅弔問を辞退する旨を添えるなどの対策が有効です。
親族間や人間関係でのトラブルリスク
「なぜ自分を呼んでくれなかったのか」「水臭いではないか」といった不満が、呼ばなかった親族や親しい知人の間で噴出するリスクがあります。
特に、伝統的な形式やしきたりを重んじる年配の親族がいる場合、相談なしに近親者のみで済ませてしまうと、その後の人間関係に修復しがたいしこりを残す可能性があります。
参列範囲をどこまでにするかを決める際は、独断ではなく、影響力のある親族に事前に相談しておくなど、慎重な判断が求められます。
近親者のみの葬儀で失敗しないための重要ポイント
近親者のみの葬送を円満に進めるためには、周囲への「配慮」と「明確な意思表示」が不可欠です。
呼ばない親族・関係者への配慮方法
トラブルを未然に回避するためには、「呼ばない側」に対して失礼のない説明を尽くすことが大切です。
単に「呼びません」と伝えるのではなく、「故人の強い遺志により、家族の時間を大切にするため近親者のみで見送ることに決めた」という理由を明確に伝えましょう。
これにより、決して相手を軽んじているわけではないという誠実な姿勢を理解してもらう必要があります。
事後報告になる場合でも、丁寧な手紙(挨拶状)を送り、無事に葬儀を終えた報告と生前のお礼を尽くすのが大人のマナーです。
香典・お供えを辞退する場合の明確な伝え方
近親者のみの葬儀では、お返しの手間や参列者の負担を考慮して、香典や供花を一切辞退するケースが多く見られます。
その場合、訃報の連絡や案内状に「故人の遺志により、ご香典・ご供花・ご供物の儀は固くご辞退申し上げます」といった文言をはっきりと明記し、受け取るのか辞退するのかの曖昧さを残さないことが極めて重要です。
当日、もし持参された方がいたとしても、受付を設けず丁重にお断りする姿勢を一貫させることが公平性を保つコツです。
会社関係者(職場)への適切な対応
会社員として勤務している場合、忌引休暇の申請や業務の調整のために訃報を伝える必要があります。その際、「葬儀は近親者のみで執り行うため、参列は辞退させていただきます」という旨をハッキリと伝えましょう。
併せて、会社名義の弔電や供花を辞退するのかについても具体的に伝達しておくと、会社側も対応に迷わずに済みます。
通常は、直属の上司や総務担当者に対し、連絡が欲しい範囲を限定して伝えるのがスムーズです。
葬儀社との「事前相談」の重要性
「誰までを呼ぶべきか」「菩提寺の了承は得られるか」「総額でいくらかかるのか」など、葬儀の準備は判断に迷うことの連続です。
そのため、可能であれば生前のうちや、危篤の段階で信頼できる葬儀社に事前相談をしておくことを強く推奨します。
プロのアドバイスを受けることで、詳細な見積もりはもちろん、想定されるトラブルへの具体的な対策も立てやすくなり、精神的なゆとりを持って本番を迎えられます。
近親者のみの葬儀に関するよくある質問
決まった定義はありませんが、一般的には10名から30名程度で行われることが多いです。故人の配偶者と子だけの数名で行う極小規模なものから、兄弟姉妹やいとこまで含めて30名近くになる場合まで、状況に合わせて柔軟に調整可能です。
基本的には「故人の遺志ですので」と丁寧にお断りするのがマナーです。しかし、故人と格別に深い親交があった方などの場合は、例外的に受け入れるか、あるいは「後日、落ち着いた頃にご自宅へお参りください」と誘導するのがスマートな対応です。
身内だけの集まりであっても、葬儀は厳粛な儀式です。基本的には準喪服(ブラックスーツやブラックフォーマル)を着用するのが正しいマナーです。案内状に「平服で」と指定がある場合でも、派手な色は避け、地味な色味のスーツやワンピースを選ぶのが無難です。
記事全体のまとめ
近親者のみの葬儀は、形式や世間にとらわれず、故人とゆかりの深い人々だけで心ゆくまでお別れができる、非常に温かく現代的な葬送の形です。
遺族の精神的・体力的な負担を軽減できるという大きな利点がある一方で、呼ばなかった方々への配慮や事後の弔問対応など、特有の準備も欠かせません。
大切なのは、故人の遺志を尊重しながら、残された遺族が後悔しない形を模索することです。
周囲への丁寧な根回しや葬儀社への事前相談など、しっかりとした準備を行うことが、納得のいく葬儀を成功させるための最大の鍵となります。



